
特定社会保険労務士になるために
~紛争解決手続代理業務試験受験対策~
8.参考書籍
参考書籍
a.おきらく社労士の特定社労士受験ノート
マストアイテムです。実際、特別研修に参加している方は、ほぼ全員所持されています。
本書は下記のような内容で構成されています。
・あっせんとは
・有名な個別労働関係紛争に関する判例、解釈の仕方
・倫理の考え方
・過去問と解答例
ほとんどの社労士の先生方は、個別労働紛争における「あっせん」について初めて学ばれることと思います。本書ではまず、この「あっせん」とはどのようなものか、という事についてイラストを交えて記載されており、すんなりと流れを理解することが出来ます。同じく倫理についても、社労士としてとるべき行動についての規範が、社会保険労務士法等を交えてわかりやすく記載されています。
何より一番役立つのが、過去試験の解答例です。連合会のHPには過去試験の問題は掲載されていますが、解答例は掲載されていません。
自身で模擬試験を行った後、頭では大体内容がわかっていても、解答例がないと不安は付きまとうと思いますので、その点で本書は非常に有効です。
あっせん・倫理共に自由記述式で、問題内容も幅を持たせている形式となっている場合があるため、解答は1通りとは限らず、自分が考えた解答とおきらく先生の解答が異なる場合もありますが、その場合はグループワーク等で知り合った方と意見交換してもよいと思います。
過去問と解答例についての確認は後にするとしても、そのほかの部分については、中央発信講義が始まるまでに一読されたほうがよいと思います。
※ちなみに実際の採点感覚の参考とするために、おきらく先生が受験した際の解答例もあえて記載されていますが、こちらは「おいおいまじかよ!おきらく先生!」というような解答例もあります。
b.最新重要判例200 労働法
こちらは、あっせん申請書と答弁書を起案する、グループワーク時に大変役に立つ書籍です。
グループワークでは、連合会が作成した仮想の個別労働関係紛争の問題が記載されており、その内容について各グループで議論を重ねる演習を行いますが、
各問題の背景には、作成に当たって参考としている事件がほぼ必ずあります。
(連合会事務局が一から問題を作成した場合、簡潔な概要ではグループワークで議論にならず、反対に込み入った事案を考えた場合、
確たる答えが出ない事態になりかねず、短期間の研修では答えが出なくなってしまうからだと思います)
本書は、 労働事件を類型毎に整理しており、問題となっている争点の解釈について、様々な判例から読み解くヒントが沢山詰まっています。
ずばり該当しているモデルの事件が記載されていたりもするので、グループワーク時に考えが分散したり煮詰まった際には非常に役立つ書籍です。
下記の労働関係法規集と同様に、今後特定社会保険労務士として活躍される先生には、以後も参考となる書籍です。
c.労働関係法規集
こちらは、すでにお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。筆者のグループ内で3名程携帯されている方がいました。おきらく先生の本にも法令や判例、重要なキーワードについて記載はされていますが、特に法令については抜粋となっているため、不足が生じている箇所が多々あります。
特にゼミナールの際には、弁護士の先生より法的根拠について激しい突っ込みが入り、会場がかなりの緊張感に包まれますので、自信を持って回答が出来るように、労働関係法規について詳しく記載されている書籍を所持される事をオススメします。
「本件は●●事件や▲▲事件と似通った事件であり、これらの過去判例内容から類推をして、○○が適当であると考えました。」というような回答がスマートであり、弁護士の先生もそれを期待されていると感じました。『なぜそのように考えたか』という質問が必ず飛んできますが、その際の論拠で『なんとなく』という感覚では、これからプロとして実務を行う試験を受ける法律家として失格です。法は判例の積み重ね、であり、拠るべきは『判例による論拠』なのです。
また、おきらく先生の本とは異なり、こちらは専門家として以後も使用する機会がある、労務管理をされる方必携の書籍です。
近年労働関係諸法の改正も多く、企業内社労士の方でも理解しているに越したことはない内容となっており、さらに特定社労士の取得を目指されている、という事は少なからずプロとして労務管理に携われることを志している方々と思いますので、その点でも以後日常業務で活躍するコンパクトサイズの大変優秀な書籍だと思います。
連合会やおきらく先生が主催している、試験のための研修会が幾つかありますが、こちらについては無理に参加する必要は無いと思います。
特に過去連合会の主催の研修会では、模擬試験の内容が本番でも出題されるという、良識を疑うような会だったそうですが、私が受験した年度では、模擬試験と同じ問題は出題されなかったようです。
ちなみに研修会に参加をされた方から伺ったお話で、
・漢字が不明な場合はひらがなで記載しても問題ない
・細かい条数、条項数までは記載する必要は無く、むしろ条数を記載して誤っていると減点の対象となる
という情報を頂きました。(現在はどのような採点ルールになっているか不明ですが、ぜひ参考になさってください。)
研修会の費用は決して安くなく、上記の書籍をすべて買っても大体同じくらいの金額かと思います。
試験に合格するだけでなく、今後特定社会保険労務士として活躍されるために、まずは上記の書籍を精読されることおすすめします。